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near2図書館 館長こと、にゃんちー。私の読書感想文と、頭の中の本をご紹介。日々の徒然(凸凹日誌)

真摯にぐれてみる【読書感想文】

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こんばんは。にゃんちーです。

すっかり肌寒くなってきたにゃー。

いつもはパソコンから書いてるんだけど、今日はスマホから。

視覚的にボリュームが分かりづらいので、短めになりそうな予感。

 

 

さて、さっそく。

 

 

 

『 ぐれる!』  中島義道  新潮社

 

中島義道 『ぐれる!』 | 新潮社

 

理不尽を噛み締めて生きよ!
欺瞞に満ちた、この善良な市民社会がイヤだ。といって犯罪に走ることも、自殺することも、絶望することもできない──。そういう人は、「ぐれる」しかない。人生の理不尽さを噛み締めて、ぐれて生きていくしかないのだ! 悩める現代人のための新しい哲学の書。

 

新潮社のHPより拝借。

 

 

 

悪魔の囁き

 

ぐれる!なんて言われたら、悪魔の囁きに聞こえるかもしれません。

が、全くそんなことは無い。とことん、ひねくれて拗れた哲学です。

 

私が中島先生を知ったのは、大学に入学すぐのこと。

とあるインタビュー記事を偶然見つけたことでした。

アバウトな内容しか覚えてないけれど、そこには、

大学なんて社会に出たらどうせ何の役にもたたない。ならばいっそ、不真面目に生きよ。

バイトやサークル活動に精を出すのも結構、しかし真に不真面目とは、くだらない学問を存分にやることだ、みたいな内容でした。

 

うわー!大学教授なのに、学問の社会的有用性を全否定から入るだなんて...

なんて面白い人なんじゃ!!と、まんまと悪魔の囁きに負けて本を買いました。笑

 

以来、この本が、大学時代のバイブルとなりました。

 

私の専攻はアート系。

夢を抱いて進学したわけじゃないけれど、本当は頭の片隅では、アートを学問として学んだところで直接的に社会の役には立たないことに後ろめたさみたいなものを感じていました。

そうした職種に就けない限り、学問を社会に還元出来ないと思っていたからです。

それは単なる道楽なんじゃないかと。

 

更に言えば、そもそもアートって、社会に、生きていくのに必要なものなの?という、答えのない問題を孕んでいる。

無論、衣食住つまり生命維持活動より、アートの優先順位は低い。

 

そして私もですが、世の芸術家やアートに関わる人達は、ある意味で盲信的にアート信仰している部分があります。

でも、ちょっとばかし素直になると、アートの未知なる、そして見えざる「チカラ」を信じている。信じたい、のです。

 

と、いうことで、アートの持つその不思議なチカラに魅せられて、存分にぐれた4年間を過ごしました。

 

好きなことを好きなだけやっていただけですが、あの時の学びは、間違いなく私の血肉になっています。

そして学びは、好奇心や探究心から来るものでなければ実りがないということに気が付きました。私はたまたま、大学でそうのめり込むものに出会えた。

凄くラッキーだったと思います。

 

 

幸福なふりをしなければならない

 

少し長くなりますが、引用します。

しかも、幸福そうなふりをしなければならない

  私は不思議でしょうがないのですが、なぜこうした理不尽を親も先生もしっかりと子供たちにたたき込まないのでしょうか。みんな知っているのに、人生の理不尽に目を向けることを避けるのでしょうか。

  ぐれるとは、こうした世の風潮にまっこうから対立して、理不尽をいつも見つめて生きるということです。理不尽を一滴もごまかさずに、味わい尽くすということです。

 

 

本当にそれだわー!って、社会にでてから思い知るんじゃなかろうか。

しかし、時すでに遅し。笑

頑張れば報われる、努力は裏切らないと幻想を刷り込まれてきたのに、実際のところ、思うようにいかない。

 

みんな、自分なりに頑張っている。

頑張ってるのに、なんか違うもんだから、幸せなのかな?と違和感を抱えている。

 

努力自体を否定するつもりはない。それは素晴らしいことだもの。

ただ、出来ないうちは、それは努力じゃないわ。圧倒的に力不足か、経験不足、あるいは努力の仕方を間違えているかのいずれかだろうと私は思っている。

 

人生、トライ&エラーの繰り返し。

成功者の何が凄いって、想像つかないほど全精力注いでる。しかもそれを楽しんでいる。

それを傍から見ると、あるいは一般的な言葉にすると努力になるんだと思う。

 

そして子供のうちに、もう1つ教えて貰っていないことがある。

成功、失敗、どちらも自分が決めるものだということだ。

他人が何と言おうと、自分が満足なら成功でいいじゃん。他人の物差しで生きていくから、不幸にもなるし、理不尽になるのだ。

 

 

最後に

ぐれるとは、から始まり、性別年代別に正しいぐれ方の指南書となっている本書。

 

あとがきが、実は愛情いっぱいで素敵です。あとがきには、ブスは死ぬまでブスとか、アホは死ぬまでアホとか書かれていますが、天邪鬼なのか、ひたすらネガティブなのか...本当に言いたいことは1つだと思います。

 

幻想に溺れるな。真実を見よ。

そして、それを存分に味わえ。

ということなんじゃなかろうかと。そういうちょっとエールみたいな感じが滲んでいて、憎めません。

腐った時に読んでみてください。

理不尽さをクソみそに代弁してくれているので、こちらがむしろ清々しい気持ちになります◎

私、こんなにネガティブに突き詰めて考えられないわー。って笑えるはずです。

 

 

今日はこの辺で。

またにゃん。