2019.2.22 にゃんにゃんにゃーん🐈【near2美術館】
こんばんは。にゃんちーです。
今日は猫の日!
2月22日。にゃん🐈にゃん🐈にゃん🐈
ということで、存分に猫を紹介します。(私の得意分野で)
猫(に限らず、動物)と言えばこの画家だにゃ🐈✨
竹内栖鳳 「班猫(はんびょう)」 1924年作
Takeuchi Seihō - [1], Public Domain
画像、めっちゃ重いですね💦
綺麗に載せたくて一番いいやつで落としたものだから。ごめんなさい🙇
没後50年たっているので、パブリックドメインとなっております。
実は日本にある、山種美術館の所蔵作品。
竹内栖鳳 臭いまで描くと言われた日本画家
ググってくれたら本当に色々でてくるので、私が書くことないにゃ!と思うほど、日本画家ではとても有名な作家です。
とは言え、美術界隈では知られていても、この猫の画は見たことがあっても、誰だよって人も多いかも。
竹内栖鳳:たけうち せいほう と読みます。
実は私も未だに本物にお目にかかれていないのです。
私にとって、死ぬまでに1度は観たい絵画の1枚です。
竹内栖鳳は近代日本画家の先駆者でもあり、動物を描かせたらその匂いまでも描くほどだと言われたほどです。
京都の二条城の近くに住んでいました。そのせいか、鹿の絵も多く残っています。
竹内栖鳳は花鳥風月を題材とした作品を得意としました。もう、栖鳳のどの作品でもいいから、一度は観て!と言いたくなるほど、美しい日本画です。
四条派*1の幸野楳嶺(こうのばいれい)に弟子入りしているからでしょう。栖鳳の作品には、非常に伝統的な日本画技法が根底にあります。
ちょっと 寄り道にゃ🐈
栖鳳と同時代に活躍した日本画家と言えば、横山大観がいます。大観は水墨画と富士山の画で有名かもしれません。大観についてはまたの機会としますが、空気を絵画として描こうと本気で試みた、とても面白い人なのです。
当時、「西の栖鳳、東の大観」と言われるほど、二人は勢力な活躍ぶりでした。栖鳳、大観ともに言えることですが、後進の育成にも尽力した画家です。
日本画の発展に大きく寄与した二人です。この二人なくして、今の日本画界はないのではと、個人的には思っているところ。
さて、本題へ。
「班猫」の見所をば。
ぜひ、作品下に記載したパブリックドメインのリンク🔗を開いて、拡大して細部までご堪能くださいにゃ✨🐈
「班猫」の見所① 透き通った翡翠の瞳
猫の瞳にご注目あれ。
翡翠(ひすい)色=青緑色 の透き通った綺麗な瞳です。目の立体感を出すのに、絵の具を何度か重ねています。拡大すると分かりますが、薄い茶色っぽく見えるところは、色がついているのではなく絹の色です。*2
実はこの画で光の方向が唯一分かる箇所が、猫の瞳。
全体を観ると分かりますが、影がない。猫の体にも、これといって目立った陰影はないんです。猫の体については、後程🐈
猫が、下から見上げるような視線。
なんにゃ?って言われている気分。
画面のサイズに対し、これっぽっちの小さな目。にも関わらず、不思議と猫の目に、鑑賞者の視線がいってしまうほど力強いのです。
「班猫」の見所② ふわっふわの毛並・毛書き
ぱっとみただけで、猫のふわっふわな毛並みの感触が分かるんじゃないかと思います。
これは拡大して観ないと分からないところですが、よーく観てみてください。
ふわっふわの毛の上に、丁寧に極細の毛の線が1本1本描かれています。*3
それも、白・茶・(恐らく)金の3色で描き分けられています。
この作品では、毛書きを単にあちこちに描いているだけではありません。猫の体の模様と、骨格に合わせて微妙に毛並みの色と方向を変えています。
更に、この画には日本画に特徴的な輪郭線が最小限です。ほとんど、輪郭線はない。そのため、丁寧な毛書きが輪郭を作るとともに、猫のふわっふわ感も生み出しているのにゃー!
「班猫」の見所③ 見返り美人・骨格
この猫の体型って、本当に一瞬だと思うんです。ちろっと後ろを振り返ったような、まるで見返り美人の姿なのです。
栖鳳はひたすら写生(スケッチ)をしていたというエピソードが残っています。それほどまでに、1枚に画を描くまでに観察し、様々な角度から描くことで全体を把握していたのだと思います。
そしてこの画、不思議なことに、ふわふわの毛に覆われていながらも、猫の骨格が良く分かる。
下のしっぽから上に向かって、丸みを帯びながら背骨が通っている。背骨と首の付け根は、画中でいうと白色の少し山になっている部分です。首と頭の境目の関節も、ぽこっと出ていますね。
猫の腰からお尻にかけての部分が丸みを帯びていて、肉厚なのも分かります。
それは何故か。
ここだけ猫の模様の色が濃いのです。ちょうど①で解説した、猫の瞳の位置と同じ場所でもあります。光が強く当たれば色は薄くなります。色が濃いということは、猫の顔の位置よりも奥行きで表現すると手前。つまり突出しているということです。
陰影をつけなくとも、たったこれしきのことで、立体感が分かる。それが画面に奥行きを感じさせているのです。
写生のエピソードもそうですが、この画に限らず、栖鳳が動物を描く時には、円山応挙の写生画の技法を重視していたことが分かります。
さいごに 自由な画風 それが栖鳳
今日は猫の日だったので、猫の画に絞ってご紹介たにゃん。
最後に、竹内栖鳳についてちょこっと。
日本画って、実は厳格な世界でもあったんです。●●派とありますが、本当に派閥みたいなもので、描き方・流派が違うのです。
だけれど栖鳳は、動物を描くときは写生を重視した円山派の技法を。花鳥風月などを書くときには四条派を。山や岩を描く時には狩野派の水墨画の技法を。そして、ヨーロッパに渡った経験から、西洋画の技法を取り入れてみたり。
そんな風に、これを描くならこの技法が適していると、流派を超えて自由に画を描いた人なのです。日本画に西洋画を取り入れるだなんて、革新的です。栖鳳にとって、画業は実験だったのかもしれません。
今日はこの辺で。またにゃーん🐈