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near2図書館 館長こと、にゃんちー。私の読書感想文と、頭の中の本をご紹介。日々の徒然(凸凹日誌)

愛のかたち【読書感想文】

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こんばんは。にゃんちーです。

昨日ちょろっと読みかけたので、結局あたまから読み返してしまった本。

もはや、昨日の記事の続きみたいなもの。かなり短めっす。

 

 www.nyanchii.com

 

 

『愛がいない部屋』 石田衣良 集英社文庫

短編集なので、あらすじとリンクは割愛します。

(ちなみにリンクは昨日の記事↑に貼ってあるので、そちらをどうぞ◎)

 

愛っていうと、どんな間柄を思いますか?

 

きっと大半だ、男女の関係を思い浮かべるでしょう。

この小説に限って言えば、概ねそれで書かれています。男女です。1作だけ、父と息子の話がありますが。

 

でも男女って言っても、色々ありますよね??

友人、恋人、愛人、不倫、未亡人同士とか。

男と女の立場(例えば社会的地位とか年収とか)が違えば、その組み合わせって無限大です。個々の価値観もありますから、それも加味したら、一口に男女といっても、いろんな組み合わせがあるんです。

 

 

空を分ける

短編集で色々あるのですが、この短編集がとても好きです。

紹介につきネタバレです。悪しからず。

 

ざっくりとしたあらすじは、互いにろくに相手のこともしらない男女がある日ルームシェアを始めるというもの。

この男女は一緒に部屋の内見に行きます。ある部屋でみた景色がすごく良かった。

川本梨花(女)はその時、こう思うのです。

この空を誰かと分けあえるなんて、ひどく素敵なことに思えた。 

 そして

なにかが始まろうとしている。その予感だけで、こんなにしあわせな気もちになる自分が、梨花はおかしかった。自分にもまだまだかわいいところがあるものだ。

 

ほぼ勢いでその部屋に決め、一緒に家具を選ぶ。ルームシェアといえど、男女なわけで、もうこんなの同性カップルじゃん、と思ってしまうような光景。

二人で住むにあたって、ルールも一緒に決めていく。

どこにでもありそうな、男女の同棲生活。(ルームシェア、だけどね)

 

淡々と互いの日常は過ぎていくなかで、ある日を境に梨花が男を見る目がかわる。

ひとりの人間とむきあえば、必ず気になるところ、見たくないところがでてくるものだ。それは遠くからあこがれているだけでは、決して見えてこないものだった。 

 

 何も知らない間の男女から、梨花はいつしか「あこがれ」を抱き、それをそっと胸にしまい込んで生活していた。でも生活していくなかで、男の嫌なところも含めて色々見えてきたそのとき、梨花にとって男は初めて

生身の存在 

になったのだ。

でも結局、梨花の気もちは受け取ってもらえなかった。

この空をふたりで分けることは、できなかった。 

 

空を分ける、という表現がとても素敵だと思ったんです。

共有する、ということかと思います。

また、空っていうのがいいなと。晴れの日ばかりではない、曇りも雨もあるわけで、夜もあるし。あえてどんな空なのかを書かないことで、色々な思いを共有する、ということを連想させる。巧みな表現だなあと。

 

愛の正解

愛の正解は、ない。

そう思っています。というか、この本を読み返してみて、そう思いました。

 

この短編集には、本当に色々な男女関係の愛が描かれています。でもどれも、不思議な愛の形をしています。昨日の記事にも書いたのだけど、この小説に描かれている愛って、体がつながるとか、何かしてあげる・してもらうとか、そういった目に見える形ではないものです。

愛ってなんだろう、結婚ってなんだろう、家庭ってなんだろうって、考えさせられます。

小説の中では、みんな、それぞれの「愛」を探し、表現していく。

ちょっと切ない終わり方をするお話が多いですが、どことなく光がさしています。石田衣良さんの本って、いつも優しい。

 

結局のところ、愛って、人によって思い描いているものが違うのだから、正解がないのだと思います。ましてどんな間柄にせよ、誰かがいないと成立しないのが愛なので、相手が違えば、描く愛も違うんじゃないかと思うんです。

 

あなたにとって「愛」ってなんですか?

その思い描いている「愛」は、普段表現できていますか?

誰かからの「愛」は感じ取れていますか?

 

 

私も誰かと空を分けあいたい。出来れば好きな人と、分け合いたい。

 

じゃあ、かつての自分はどうだったかな?って考えました。否応がなしに、自分の結婚生活を振り返るハメになりました。あいたたた。

そして、今の自分だったら、「愛」ってどんなのかな?って考えてしまいました。これらについてはまた別の機会に。

 

今日はかなり短め。

古傷えぐって塩をぬりたくったような気分になっちゃったのだ。

今日はこの辺で。おやすみにゃん。